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自分に優しく

帰還

5年前の自分の文を読むとかなり恥ずかしいですね。。。

 

あの頃はぼんやりと大学院生活を謳歌していて、将来の事(就職とか夢とか)を全く考えずに日々を過ごしていたなと懐かしくなった。自分は体育会の部活動に熱中し過ぎて、全く基礎学力が育たないまま大学院進学を迎えてしまったから、研究を進める上でかなり苦労した(している)。

 

5年前の自分へ。私は、博士課程を無事終えてこれからポスドクとして研究者としての道を歩もうとしています。今のうちにもっと勉強してください。

観測終わりの駄文

今日の天気は一日中晴れらしい。晴れっていっても俺の活動時間は夜だからFineというかClearっていう方がいい気がする。さっきまで夜の間ずっと天体観測をやっていてやっと夜明けが来たので、終わって宿舎に帰り夜飯というか朝飯を今食べている。わざわざニュージーランドまでお金を出してくれるのは有り難いことこの上ないんだが、現地の生活はやっぱり思ってたよりも少ししんどい。日本にいる時もちょっと院の生活はしんどい。これを大学にお金を払ってやっているのだから、余計にしんどい。まぁ、研究は時たま楽しい時があるからいいけど。あと2年かぁと思いに耽ることもしばしばある。

 

ニュージーランドに来るのはこれが2度目で、前に1回目に来た時は、同じ研究グループの名古屋大の先輩と一緒に観測シフトをした。ちょうど今年の五月の後半から6学中旬位の期間だったか。さっき、晩飯(朝飯)のビーフシチューを作っている時に、ふとその先輩とそういや一緒に料理してたなぁと思い出していた。

 

先輩とはおよそ二週間くらいシフトが被っていて、その間その先輩とニコイチで14時間毎日観測もしたし、飯も全部一緒に食ったし、そのせいかなかなか仲良くなった。(俺がそう思っているだけかもしれないが。)いつだったか、晩飯を食ってる時に例の、俺が1ヶ月に一回くらい発症してしまう「死ぬの怖い病」について話したら、その先輩も時々発症するらしくて一緒に笑った。その先輩は重力波の研究に物凄く関心が高くて、そのロマンについても熱く語ってくれた。その時になかなかインスパイアされちゃって、日本に帰って来た時に重力波の研究もいいなぁってちょっとだけ本気で考えた事もあったな。

 

その先輩が5日前に亡くなった。ちょうど3週間前くらいに先輩の乗っていた原付と軽トラックとが正面衝突した。向こうの軽トラックがセンターラインを越えて対向車線に突っ込んで来たらしい。避けようのない事故だったのかもしれない。シフト出発前に意識不明の状態で入院していると聞いていて、この観測シフトが終わったらお見舞いに行こうかなと思っていた矢先の事だった。残念ながら日本にいないので、通夜も葬式も行くことが叶わなかった。

 

なんでこの日記みたいなのを書いてるのかというと、さっきビーフシチューの人参を切っている時に、このキッチンで先輩と話した内容とか先輩の顔とか諸々フラッシュバックして、なんか居ても立っても居られない思いがしたからだ。わずか2週間しか一緒にいなかったけれど、たった3ヶ月前に共に過ごした人がこんなにも唐突にこの世から旅立ってしまうこの現実に脳みそがついていけてなくて、心がかなり不安定になっている。まして「死ぬの怖い病」の話をして、共感してくれた人がまさかその3ヶ月後になんて。生きる事って本当に何が起こるのか、本当にわからない。悲しい。

 

泣きながらビーフシチューを作ってズビズビ言いながら食べていたので、朝起きて来た宿舎の人に怪訝そうな目で見られた。終わり。